COLUMN:

追悼:DJ KENSAW — 2007年のインタビューを公開

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 自然、そんな環境下で産まれた新作アルバム「SPORTZ CENTER」は、悪い意味での「ヴェテランらしい」懐古的な作風に収まる筈もなく、「ハウスでもアナログを切りたくて、既に5〜6曲は上がってる。DJ KENSAWって名前も関係なく、『はじめまして』って感じで新人でいきたいな。45 KINGやM.A.Wとか好きやし、結局、ハウスもブラック・ミュージックやから、その“黒さ”を黄色い俺がどれだけ伝えられるかなって考えてる」と語るように、4つ打ちからクラシック・ブレイクまで、彼のフィルターを通した“ドープネス”が充満する仕上がりだ。

 「最新ではありえへんし、古くもない。俺の作品は長く聴けるようには心がけて作ってるから、最初は地味に感じても、1ヶ月、3か月経ってから他の人と聴き比べてもらえたら嬉しい。最初は衝撃的ではないけど、いろんな人のを聴いたりしてちょっと寝かしてくれたら、すごい耳に入ってくると思う。当然、聴き方は自由やけど、そこを感じ取ってもらえると一番嬉しい」と、自身が評する本作を支えるMC陣は、DJ KENSAWを慕い、緩やかに集まった面々。

「俺のことを好きでいてくれて、全員が違うカラーを持ってる連中。闇雲PROJECTは全員キャラが違うから面白くて、NUDE TRIBEはジャズが好きやったり、INSIDE WORKERSはゴリゴリでいくし、ソウルをサンプリングして黒さを出すDOPE RIDEは西海岸とかも好きやったり。カネ積んでどうこうやなくて、俺のことを一番分かってくれてる連中」

 そういった、世代を超えて集まったMC陣への注文とは、「敢えてフリースタイル的にやってくれるように頼んだ。俺らのイヴェントにお客さんが遊びに来てくれるためにも、“生”の雰囲気を伝えたかった」との言葉が示す通り、DJ KENSAWの全ての活動の原点となるのが、現場でのクラブDJとしてのプライド。

「東京、大阪とかこだわらず、もっと沢山の人に聴いてもらいたい。やっぱり本業はDJやしな。部屋のレコードも全然整理してないからバラバラやけど、DJ行く前は昼間に起きてギリギリの時間まで全部見るし、絶対にそこは譲れへん。前回使った(レコード)箱を多少入れ替えてとかは絶対にしない。イヴェントによって選曲は変えたいし、そうせんかったら嘘付いてる気分になるし。プレイもどんな客が来るか分からんから、ルーティンは組まずに即興でやる。DJは何年やってもやり足らんし、本当に深いな……」

 更に、大阪HIP HOPシーンの黎明期から作り続けてきた一連のミックステープについては、「ビートを作る欲求が勝ってもうて、えげつないくらいビート作ってるから、ミックステープも作りたいんやけど、収拾がつかへん。最初は、ダビング・マシン買って大阪の自宅で作って、家で作ったテープが北海道から九州、沖縄まで行き渡るってのも、あの頃にすれば凄いことで、『追加お願いします』て言ってきてくれる店には『おおきに』って足運んだりもした。そういう店とはいまだに付き合いがあるな」
 
 
 そして現在、氏が好んで使うフレーズ、「梟観光、夢とギラギラのドープ・サウンド」についての注釈はこうだ。

「アレは俺が考えたフレーズ。最初は『安心と信頼のドープ・サウンド』やった。そこから進化させて、今は『夢とギラギラのドープ・サウンド』。俺はカッコ付けすぎるんも嫌やし、“ギラギラ”って言葉には『がっつく』って意味もあるから、取りに行くところは取りに行きたいし。まあ、『HIP HOPの音楽旅行代理店』って意味やな」

 これまであまり媒体で紹介されることのなかった彼のルーツ、とりわけ影響を受けたクラブDJについても聞いてみた。

「影響を受けたんはRED ALERT。あの人は、曲のピッチを変えずにミックスするっていうこだわりがあって、最初の2小節くらいズレることがあるけど、それは繋ぎが下手なんやなくて、オリジナルの音源をそのまま再現したいから、常にかかってる曲のピッチはフラットやねん。90の次に100のBPMの曲をかけるときに、繋ぐとき、90の曲のピッチをガッと上げるねんな。それがあの人のスタイルで、『黒いなあ』って。けど、ピッチがどうしても合わへんときは、マイクであの『イエ〜〜〜』って言うMC入れてブッ込む。あの人のミックス音源は、レゲエも出てるけど全部持ってる。他に好きなんはCHUCK CHILLOUTとか……、衝撃やったのはTONY TOUCHで、あの人も黒いな。スクラッチの黒さやったらEVIL D、RON Gも大好き」

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