COLUMN:

“バトルMC”の“今”を探る(CASE 2:ACE)

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CASE 2:ACE
所属クルー/レーベル:渋谷サイファー /sound luck /戦極CAICA
出身地/地元: ブラジル/新宿
現在の活動拠点: 東京
ラップ歴: 15年
MCバトル歴: 5年
主なMCバトル戦歴:
・2010年
『戦慄MC BATTLE VOL.11』優勝
・2011年
『BBOY PARK MC BATTLE U-20』優勝
・2012年
『REHERB MC BATTLE』優勝
・2013年
『UMB REVENGE』優勝
・2014年
『Warugaki☆G.P〜mc battle〜vol.11』優勝
『REHERB MC BATTLE Vol.7』優勝
『THE COMING × THE罵倒』優勝
『REHERB MC BATTLEVol.10』優勝
『戦極 MC BATTLE 特別編 2014 東阪ツアー OSAKA 八文字』優勝
『Warugaki☆G.P〜mc battle〜vol.15』優勝
『罵倒 x 核MIX 3on3』優勝
・2015年
『Warugaki☆G.P新年会スペシャル』優勝
『monster HUNTER MC battle vol. 5』優勝
『エンターテイメントMCバトル』優勝
『戦極 MC BATTLE ageha杯』優勝
『ENTER MC BATTLE(10月)』優勝
 
 
■生まれはブラジルなんだよね?
「そうですね。で、3歳頃に日本に来ました。そこから、基本的にはずっと新宿で育って」
MC正社員「ACEは、音楽家庭なんだよね」
「親父がサンバとかボサノバのミュージシャンだし、母親もサンバの振り付け師とかやってましたね。自分がまだブラジルにいた頃、親父は既に日本に来ていたから、親戚全体が俺の面倒を見ててくれたんですけど、伯父さんにMICHAEL JACKSONとか有名なファンク・バンドのライヴ映像とかをひたすら観させられたんです。そこで音楽好きになったっぽいですね」
 
■小4ぐらいからラップをしていると訊いたけど?
「小学校の頃にやってた『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』のオープニング曲だった下町兄弟“War! War! Stop It”が好きで、それが最初にリリックを覚えた日本語ラップです。そこでラップっていうモノを知って。で、そこからラップにハマっていく内に『学校へ行こう』って番組の『B-RAPハイスクール』ってコーナーに出てたアンコ the KAN CREWを知るんですね。学芸会で『オズの魔法使い』の劇をやったんですけど、そのセリフをアンコ the KAN CREWがやってたみたいに『ズンチ ズンズンチ』ってリズムでラップしたりして。で、そこからKICK THE CAN CREWに辿り着いたんです(笑)。その頃からずっとフリースタイルはしてましたね。フリースタイル/MCバトルのことは知らなかったけど、ただアドリブで曲を作ってたというか。小学生のときとかって、替え歌とか流行ったりするじゃないですか?それをラップでやるっていうノリで」
 
■そんなに早くからラップに慣れ親しんでいたのに、バトルMCとしてのキャリアは5〜6年ぐらいなんだね。
「そうですね、2009年に出たのが最初かな。バトルを知ったのは、中学生の頃にYouTubeで『BBOY PARK』の映像を観たんです。2000年にKREVAが優勝したときの映像ですね。で、それを観たときに『コレ、絶対俺優勝できるじゃん』って思ったんです。『コレ、俺のための大会だ』って。だけど、バトルの情報が全然入って来なかったから、出てはいなかったんですけど、高校卒業後にSOUND LUCKの相方のHIDEとツルむようになって、彼経由で情報を得られるようになって、バトルに出始めたって感じです。2009年に渋谷asiaで『TEENS』っていう、(ビートボクサーの)太華さんがやってた20歳以下のMCバトルがあって、それにHIDEが出るってことになって、現場に行ったらHIDEが俺を勝手にエントリーしてて、それで出たのが最初です」
MC正社員「ACEって、俺の中では『いきなり出て来た』印象なんですよ。俺は観てないんですけど、一緒に『戦極MC BATTLE』をやってる八文字がそのバトルを観てて、『ACEってヤツがヤバかったからバトルに呼びたい』って話してたんですよね」
「それで、(『戦極MC BATTLE』の前身である)『戦慄MC BATTLE』に出て、それで優勝したんです。その日は38度以上の熱があって頭が痛かったんですけど、一回戦からハハノシキュウさんと当たって、『は?コレってラップなのか?こういう人もいるんだなー』みたいに思ったけど、戦った後に話したらメチャクチャ良い人で、バファリンまでくれた(笑)。決勝はアスベストさんでしたね」
MC正社員「あの大会自体、会場の空気がなんかピリピリしてたんですけど、ACEの一戦目から『コイツが優勝するな』みたいな空気になってましたね」
 
■当時のACE君がバトルに出る目的は何だった?
「モテたい/勝ちたいっていうことでしたけど、俺はYouTubeで観てから『BBOY PARK』で優勝するっていうのが目標だったんですよ。俺の高校生のときの人生プランは:『BBOY PARK』で優勝する/『流派-R』に出る/『MUSIC STATION』に出る/『笑っていいとも』に出る/アジカンと曲やるっていう感じだったから、自分の夢を叶えるためにまずは『BBOY PARK』で優勝したかったんですよね」
 
■で、実際に2011年の『BBOY PARK』で優勝するわけだよね。
MC正社員「……だけど、『U-20 MC BATTLE』だったのに、あのときのACEは21歳だったんでしょ?」
「いや、それに関しては論破できますよ。アレは司会だったDAG FORCEさんが『U-20』って言ってただけで、実際は『U-21』だったから、俺は出れたんですよ」
 
■確かに当時、関係者の間でACE君の年齢については物議を醸した記憶がある(笑)。
「しかも俺、正式にエントリーしてないんですよ。『ひとり余ってます』っていうアナウンスがあって、またHIDEに『ちょっと手を挙げて』って言われてうっかり挙げたら選ばれたっていう。ちなみに、そのすぐ近くでR-指定も手を挙げてた(笑)」
 
■これまでに当たった相手で特に印象に残っているMCは?
「メテオさんですね」
 
■またトリッキーな相手だ(笑)。
「自分が優勝した後の『戦慄MC BATTLE』だったんですけど、自分は優勝した後だから調子づいてたのに、『この人には負けないだろう』って思ってた相手に、スッと合気道で返されたみたいに負けちゃったんです。あのときは喰らいましたね」
MC正社員「メテオが『よしんば俺に勝ったとしてもこの先そのテンションでこの先どうするんだ?』って言って、そこからACEが何を言っても客が沸かない空気になったんですよ。それはメテオの戦術というか、能力ですね」
「そのときに、『何故だ……何で負けたんだ……』ってなって。そのときがバトルでの『戦い方』について考えるキッカケになりましたね。自分のスタイルって、相手が50の力で来たとしたら自分は52の力で返すみたいに、相手の基準に合わせる感じだと思うんですけど、それはメテオさんとのバトルや、その後に観たMCバトルを通して見つけたことだと思いますね」
 
■音源/フリースタイルにおける自分のラップ・スタイルを説明するとどんな言葉になる?
「『添え物』。多分、俺のラップって実際そんなインパクトってないのかな、って思うんですよね。あるようでないような感じというか」
 
■個性が?
「キャラはあると思うんですけど、ラップ自体に特徴はないから、聴いても『ACEのラップってこういう感じだよね』みたいな話題にはならないのかな、って」
 
■それは意図的なの?
「意図的というか、まだ模索中という感じですね。一個のスタイルに固定するのはまだ早いと思ってるんです」
 
■ACE君は、所謂“バトルMC”ともっと広義的な意味での“MC”は別モノだと思う?
「思いますね。お笑い芸人みたいにネタをメッチャやってる時代が“バトルMC”なのかな、って思います。で、ちょっと売れ出すとレギュラー番組持ったりトーク中心になったりするじゃないですか、そういうのがMCで言うとレコーディング・アーティストみたいな感じなのかな、って」
 
■芸人の世界で言うと、『M-1』に出ているような人たちがバトルMCだということだね。
「そういう感覚だと思いますね」
 
■ということは、ACE君の中ではバトルMCの上にレコーディング・アーティストだったり、もっと広い意味でのMCがあるという、序列みたいなのがある?
「そういうワケじゃないですけど、基本的に知名度はレギュラー番組持ってる人の方があるじゃないですか。で、『今、M-1/お笑いブーム来てるんじゃないの?』みたいな流れが、MCバトルの現場で起こってるのかな、って」
 
■フットボールアワーとかブラックマヨネーズみたいな人が、これからバトルMCの中から出て来るかどうか、っていうタイミングだっていうことだね(笑)。
「そうですね。あと、ダウンタウンみたいなクラスの人が『M-1』に出るぐらいのハプニングを、『フリースタイルダンジョン』みたいな番組がこれから起こそうとしてるんじゃないかな、って」
 
 

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